車屋Alluがオススメする欧州車の紹介と、新車と比べてのざっくりとした価格差、そしてそれぞれの試乗したインプレッションをまとめました!
あなたの欲しい車はあるでしょうか?
最後にわたしのオススメ順位も公開していますので、興味のある方は最後までお読みください。ちょっと長いですから笑
群雄割拠 コンパクトカークラス
欧州コンパクトカークラスのオススメ車をご紹介しましょう!
1 プジョー208
2 ルノールーテシア
3 フォルクスワーゲン ポロ
この三台が圧倒的にオススメです。
では、新車価格と3年落ち以内の車の価格差を比較してみましょう
全車、スタッドレスタイヤ付き、新車はオプション基本なしでの試算です。諸費用などの関係で若干の差異がございます。
1 プジョー208GT
新車時→
車両本体価格 361万円 総額ざっくり 410万円
中古3年落ち以内車検あり→
車両本体価格 276万円 総額ざっくり 320万円
値落ち見込み 90万円
2 ルノールーテシア インテンス
新車時→
車両本体価格 286万円 総額ざっくり 340万円
中古3年落ち以内車検あり→
車両本体価格 240万円 総額ざっくり 285万円
値落ち見込み 65万円
3 フォルクスワーゲンポロ R-line
新車時→
新車時本体価格 368万円 総額ざっくり 416万円
中古3年落ち以内車検あり→
車両本体価格 265万円 総額ざっくり 310万円
値落ち見込み 106万円
と3年落ち以内で、かなりの値落ちです。
実際には、2年落ちの車も走行距離3万キロ程度であればでてくることもあります。
では、国産のコンパクトカークラスの新車時価格と比較してみましょう。
1 トヨタヤリス Hybrid 4WD Z
車両本体価格 257万円 ざっくり総額 291万円
2 ホンダフィット e:HEVホーム
車両本体価格 240万円 ざっくり総額 275万円
3 日産ノートオーラ
車両本体価格 337万円 ざっくり総額 377万円
国産車はどれも4WDのトップモデルを想定しています。
4WD必須というのであれば、選択肢は国産限定ですが、小樽でFFの208を運転しているわたしとしては欧州車は雪に強いという印象です。
確かに4WDよりは不自由です。が、致命傷ではなく、むしろ問題ない状況の方が圧倒的に多いです。
さらにいうなら、国産にはない走りの質感、楽しさ、一体感があるので、それほど問題はないと考えています。
とはいえ、4WDでなければという方は、ぜひ国産を選んでください。
ちなみに、ここであげた国産車は中古でもほとんど値落ちしていないため、新車とほぼ変わらない価格になっています。
ただ、中古車は購入時にもろもろのオプションが付いた状態ですので、素の新車よりは装備は充実していますので、若干の値下がり程度というのが実態です。
というわけで、新車の国産車と2~3年落ちの欧州コンパクトカーでは、少し欧州3台が高い程度で購入可能というのが実情です。
さて、ここからは試乗レポートです。このレポートで最新の国産か、ちょっと中古の欧州コンパクトを選ぶか参考にしてくださいませ。
車屋Allu全快インプレッション
ここにあげた、国産車、欧州車全部乗りましたが、わたしの主観のインプレッションをお届けします。
1 トヨタヤリス
はっきり言って、国産コンパクト最強はヤリスです。剛性感、操作に対するリニアリティ、運転の楽しさ。すべてにおいて欧州ライバルに肉薄する完成度。

シートも秀逸ですし、4WDで安心の走り+最強の燃費。はっきりいって、つつきたい穴はありません。
衝突安全テスト、動的安全のテストにおいても満足のいくレベル。
運転を楽しみたい、わたしとしては国産では一押しです。欧州車との比較は後ほど、あらためてまとめますが、現行の国産車ではヤリスが最もオススメです。
わたしが思う難点は、ハイブリッド故のエンジンの鼓動を感じにくいこと。そして、内装が価格なりの質感とデザインというところ。
ですが、トータルで見ると、他者と比べたときに、唯一の不満は室内の広さぐらい。素晴らしい車なのは間違いありません。
そういえば、初代ヤリス(日本名ヴィッツ)とこのヤリスはヨーロッパカーオブザイヤーを獲得しています。
スタイリングの方向性は異なるものの、走行性能を世界レベルと開発している点では共通していて、まさに走りの本場ヨーロッパでもライバルと十分に戦えるレベルの車。
だからこそ、並み居るライバルと変わらない販売台数をヨーロッパでも記録しているのだと思います。
2 ホンダフィット
ホンダのe:HEVシステムは本当に秀逸です。モーターは前だけですが、きっちりと後輪にも駆動を伝えるので、雪道での走行性能とドライバーが感じる安心感と安定性は、ヤリスを凌ぐ。というのがわたしの印象です。
インテリアはシンプルながら、キュートなデザインで質感もなかなかです。小物入れやドリンクホルダーなどの使い勝手も良い造りです。
難点は、優等生であることです。モーターのパワーはかなりあるので、加速などは結構ヤンチャではありますが、全体の印象として万人向けです。
万人向けは素晴らしい価値ではありますが、運転の際に、操る楽しさも大切にしたい、わたしとしてはちょっと物足りない印象。
この点では、先述のようにヤリスの方が楽しさがあります。ですが、パワーはフィットの方が上。
総じて、購入して不満の出ることはない、秀逸な完成度の車です。
動的安全という面では、ヤリスを100とするなら90~95といったところ。ここでいう動的安全というのは緊急回避レベルの話ですので、通常レベルでは全く問題ありません。
むしろ、乗り心地も上質ですし、不満を感じることはありません。
3 日産ノートオーラ
ノートオーラの最大の魅力は内外装の高級感です。正直これは欧州車も顔負けのクオリティです。ハッチバックスタイルの車ですが、後ろに荷室がついていたら、高級セダン、高級ワゴンといっても良いぐらいの質感。
所有する喜びを内外装から、とても感じられる車です。走りの面では、本当にパワフルで前後の制御バランスもよく、パワーという面では国産ではナンバー1。
ステアリングの操作感もリニアで素直なフィーリングです。パワーもりもりなので、アグレッシブにも、ゆっくりゆったりの走行のどちらも余裕でこなせます。価格面でも国産では頭ひとつ抜けていますが、価格に見合うクオリティといえると思います。
わたし的な難点は、やはりEVメインであることでしょうか? エンジンの躍動を感じることはほとんどありません。
それから、ライバルと比べて200kg重いこと。これが動的安全という面では各種テストを見ると、少し不利になるようです。
ただ、モーターメインの緻密な制御は秀逸で、雪道などの安心感、安定性では、この3台の中ではトップといえるかもしれません。
そして、国産ハイブリッド全車共通するのが、燃費を重視するが故、エンジンをなるべく回さずバッテリー&モーター駆動で走行すること。ですので、エンジンの鼓動というアナログ感が感じられないのが、エンジン大好きのわたしにとっては残念なところです。
ですが、実際にはこれはメリットの方が多く、エンジンよりもリニアかつトルクフルな走りができます。それが、多くの方にとっては、国産コンパクトカーの魅力のひとつといえるでしょう。
モーターのフィーリングが心地いい、むしろ好き。そして4WD必須という方は、欧州車ではなく、この3台の中から選んでおけば間違いありません。
ちなみに、各パラメータ毎のわたしのオススメはこちら
●走りで選ぶなら
トヨタヤリス
●かっこよさで選ぶなら
日産ノートオーラ
●かわいさとバランスで選ぶなら
ホンダフィット
●そつがない優等生
ホンダフィット
●燃費
トヨタヤリス
つづいて、欧州コンパクト3台のインプレッションをお届けします。
1 フォルクスワーゲンポロ
ひとこと。ドイツ車~! です。
ボディのしっかり感、操作系のダイレクト感、エンジンの小気味よさ、緻密な動的制御。どれをとっても究極の優等生かつ、素晴らしい完成度です。
とくにボディの剛性感は、国産では感じられないレベル。「守られてる~」と感じる瞬間です。シートはドイツ車らしく固めですが、ロングドライブでも疲れることのない秀逸さ。
今回、国産コンパクトに共通していたのが、シートがこれまでの国産と比べるなら、本当によくなっていることでした。
が、まだ欧州コンパクトには一日の長があるなと実感しました。とはいえ、以前のように国産だと明らかに疲れるということもないレベルまで来ているとは思います。
実際にはロングドライブまでは出来ていないので、本当の意味での完成度はありませんが、ちょい乗りレベルでの違和感はないレベルまでは仕上がっていました。
さて、ポロに話を戻しましょう。
デザインは外観、内装ともシンプルかつ実用的で、品があります。インテリアはカッコイイということはないのですが、使いやすさや、わかりやすさなどは、よく考えられているデザインです。全体の質感は高級という印象ではなく、欧州の他の2台と比べると、安っぽさが少し感じられます。
新車として比べると国産より100万円高いものの、それに見合う走りの完成度、衝突安全、動的安全ともに国産車よりも一歩上をいくレベルです。
走行していて、明らかにボディの強さを感じる仕上がりは素晴らしいの一言。
また、トップモデルのR-lineでは、スポーツサスペンションと電子制御デフシステムで、小気味よく走らせる楽しさもあるため、山道などは軽快かつ楽しく走らせることが出来る印象でした。さすが、世界のベンチマークといえる仕上がりです。
最後に一言。FFですが、北海道の冬でも不便を感じることなく走ることが出来る緻密な制御はオススメポイントのひとつです。
もちろん、4WDにかなわない面もありますが、必要にして十分な性能を持っています。
2 ルノールーテシア
3台の中ではもっともリーズナブル。といっても、今回紹介している上位モデルにハイブリッドモデルもラインナップされています。

こちらのハイブリッドモデルの完成度はなかなかのものです。燃費は2023年3月時点で欧州車最強。フィットに肉薄する数値です。
とはいえ、ルーテシアもFF。そう考えると、国産のハイブリッドは燃費性能を重視してエンジンを極力回さないようにしていることが明白です。
ですが、このルーテシアも、低速ではEVメインなため国産ハイブリッドと変わらないフィーリング。モーターパワーは国産3台の方がありますが、決して負けていないパワー感が出ています。
その走りの性能は、しなやかさとしっかり感のバランスが超絶妙。ダルでもなくクイックすぎない。素晴らしい落とし所だと思いました。
ボディの強さという意味では、全く不足がありませんし、ダンパーの動きに全く違和感を感じません。
丸く衝撃を吸収し、姿勢を保って欲しいときはしっかりと保つ。ロールしすぎないし、前後方向の動きも必要な量しか動かない印象。
姿勢を動かさなくすると、固さ感じるものですが、まったくそういう固さもありません。
これは本当に走り込んで造っていると確信できる完成度です。
そして、今回、総額を出しているのが、ガソリンモデル。
これまた、さすがの完成度です。ゴルフと比べるとしなやかですが、ハンドリングは懐の深さがあり、ドライバーの意図通りに動く素直さもあります。
ハンドリングの傾向はハイブリッドモデルと全く同じで、軽快さがあるといったところでしょうか?
運転するのが楽しいと思わせてくれる車に仕上がっています。ドイツ車とは違う、当たりの柔らかさと軽快感のバランスがほんとうに秀逸。
車格を超えた、高級感を感じられるベストセッティングマシンとして、超オススメです。
ポロも運転していて楽しい車ですが、ルーテシアの方がすこし上品な感じがします。
ルーテシアのもうひとつのオススメポイントが、かっこよさ。外観は見れば見るほど惚れてしまうようなスタイリングです。
わたしが車のデザインで大切にしている、ちょっと離れたところから見たときのシルエットも美しいの一言。
インテリアはおしゃれ感と実用性のバランスが良く、ポロとはまた違った良さがあります。ドイツ車とは違う、柔らかさがここでも感じられます。
ガソリン車はお得なプライス設定。デザインと走りの良さだけで選んでも後悔しない車。価格もリーズナブルだし、208オーナーでなければ欲しい車です。
ルーテシアも欧州車のご多分に漏れずFFですが、プジョーオーナーとして20年近く暮らしているわたしから見て、冬道では欧州車のFFは国産のFFよりも、間違いなく走ります。
そして、雪のない季節は、国産車では味わうことの出来ない、楽しさがあります。運転するのが楽しいって、本当にいいですよ。
長距離の運転も、ちょっとした曲がった道も、交差点も楽しい場所と時間に変わります笑
シートについてもいうことはありません。疲れにくさ、ホールド感ともに最幸レベルです。
衝突安全、動的安全性についても、このクラスで最高レベルの完成度。かといって優等生というわけでなく、遊び心もしっかりあるラテンの味もある。
ルーテシアの名前の語源は 沼。まさに魅了されてルノーの沼にはまりそうです。
3 プジョー208

この3台の中で、もっともヤンチャなキャラクターなのが208。デザインも3車のなかでもっともシャープで攻撃的です。女性にはちょっと不評を買うかもしれないぐらいの振りきったデザインです。まあ、日本のミニバンのいかつさが大丈夫なら問題ないかと思いますが…。
インテリアの素材感は高級ですし、デザインはひとことカッコ良し。オーラのインテリアの質感もなかなかですが、デザインの秀逸さではこの208が圧倒的にナンバー1です。(これは絶対実車を見て頂きたい!)
ただし、操作はちょっとわかりずらいので、慣れるまでは使いづらいかもしれません。ですが、クラスがひとつもふたつも上の見た目は、運転していても悪い気はしません。
また、エンジン音がギミック演出がされていて、かなりスポーティーな印象を感じさせます。エンジンを回す楽しみがあるのですが、こういった演出が好みではない方もいるのではと感じました。
走行面では、さすがヨーロッパカーオブザイヤーを取っただけのことはあります。軽快かつリニア、凹凸のいなしもしなやか。ボディのしっかり感も高く、運転しているときの安心感も高く仕上がっています。
ボディの剛性感ではポロに譲りますが、国産コンパクトの3台では及ばない強さを感じます。
今回ピックアップした欧州車、国産車の中で、運転するのが一番楽しく感じるのは、この208なのは間違いありません。
楽しさがわかりやすいので、誰でも乗ってすぐ良さを感じられると思います。
一方、ルーテシアやポロは色々なシチュエーションを走って行く中で、その良さをじんわりじんわり感じていく車です。
欧州3車に共通しているのは、コーナーを曲がっているときに、リニア感や素直さ、しっかり感がそれぞれバランスが異なるものの、心地よいこと。
さて、208は、エンジンは3気筒ながら、ラグのないターボで低回転からトルクフル。パワーに不足は感じません。ギミック音のおかげかエンジン自体の振動なども感じられず、本当に良いエンジンです。
さすがに2018年に、エンジンオブザイヤーを獲得しているエンジンがベースなだけありますね。
力強さという意味では欧州モデルでは、1位 ルーテシア、2位 208、3位 ポロの順ですが、三車ともパワー不足を感じることはありません。
ミッションはルーテシアとポロが7速。208は8速ですので、トルクレンジを外すことなく加速できることも動力性能に不満を感じない要因といえるでしょう。
国産車のモーター駆動はリニアかつトルクフルでとても力強く、かつての2.5リッターや3リッターのエンジン車に乗っていると感じるくらいのスペックです。
欧州勢では、ルーテシアがハイブリッドモデル、ガソリンモデルともにハイスペック。動力性能で選ぶなら欧州勢ではルーテシアがオススメです。
ですが、ポロ、208ともに、動力性能にまったく不満を感じることなく、サイズと重さに見合ったエンジン特性とギア比になっていて、むしろ爽快さを感じられます。
またまた、208に話をもどしましょう。
動的安全性については、プジョーはこれまでの評価が高かったように、クラストップレベルの安定性と操縦性です。
衝突安全については、乗員保護では優れていますが、歩行者保護のテストでやや成績が悪く、総合点では、ポロやルーテシアにやや劣ります。
ですが、それでも国産3台よりも優秀な結果。
外観・内装ともデザインで好みが分かれる車ですが、おしゃれで、軽快で楽しく、質感もしっかり感も兼ね備えた、素晴らしい仕上がり。
ちなみに2022年ヨーロッパで一番売れたのが、この208でした。
総評
というわけで、今回はコンパクトカークラスで、日本車と欧州車からそれぞれ3台のインプレッションをお届けしました。
国産車の完成度は、これまでと比べても高くなっていて、購入して後悔するような要素は全くない、とても良い車ばかりです。
一方、欧州勢は、それぞれのメーカーが渾身の力を注いだと思えるほど、3台とも非常に高い完成度の車でした。
こちらもどれを購入しても後悔はしないはずです。後悔するとしたら4WDの発進性能と同等の性能を求めたときぐらい。
雪のない季節を走るのであれば、3台とも国産にはない、運転する楽しさを味合わせてくれる車達です。
加速の絶対性能では、国産3台の方が良いでしょう。
一方でドライバーの意図通りに加速し、減速し、曲がるという点では、やはり欧州勢が一歩も二歩も勝っているとわたしは思います。
前にも書いたことがありますが、3台とも運転しているときに「感嘆符」が自然とこぼれてくる良さがあります。
国産車についていえば、ヤリスを除いて、加速性能以外で感嘆符が出てくることはありません。
ヤリスの運転の楽しさは、欧州車に通じるものがあります。
が、ちょっと世代が古い気もします。というのも、動きの印象が、わたしの208にとても近いと感じたからです。ただ、まだ少し差があるとも感じています。
ヤリスは、十分に操る楽しさがありますし、コーナーを曲がるときに「いいねー」と声が出るぐらい、いい動きをします。
わたしが208を運転しているときにも、よく独り言で「いいねー」と口から出てきます。
トータルで見て、ヤリスの動きは本当によく完成されています。
それを踏まえた上で、欧州最新3台は、楽しさとしなやかさを持っています。凹凸を丸く吸収しつつ、ダイレクトかつリニア。キャラクターの違いはあるにせよ、メーカーの目指したところをしっかりとドライバーに伝えてくれるハンドリングをそれぞれが持っています。
現行ヤリスの発売年は2020年。
わたしのプジョー208は2013年。
今回の試乗を通して、この7年の差が、まだ欧州車と国産車の間にはあるように感じました。また、ヨーロッパのメーカーは本当に走り込んで車を仕上げているという印象です。
絶対的テスト量、走行量、そして開発ドライバーのこだわりが、走る曲がる止まるの性能に現れています。
わたしが、いまの208の前に乗っていたのが、プジョー307。この307もヨーロッパカーオブザイヤーを取っていたのですが、乗り心地が本当に素晴らしかった。70kmを超えた当たりからは魔法の絨毯のようなしなやかさを感じる乗り味でした。
当時の日本車では、到底そのレベルに達している同クラスの車はありませんでした。
上のクラスの国産車でも、数台しかなかったと思います。
フィーリング自体は全く異なりますが、この307と比べても、いまの国産車が走りの面で追いついたとは言いがたいというのがわたしの印象です。
これは走行環境が異なるからともいえます。一般道の最高速度が80km以上100kmというヨーロッパと、60kmの日本。高速もヨーロッパはほとんどが130km(ドイツのアウトバーンは無制限区間もあり)です。
車の設計、セッティング自体が合わせている速度が違うのですから、車も違って当然といえば当然です。
しかし、かつての日本車は、日本仕様と欧州仕様をわけて作っていました。
一部鉄板を厚くしたり、補強を各所に入れたり、ダンパー自体を変えていたこともあります。
ですが、現行ヤリスは、世界共通になっています。
それでも、まだ走行性能の面では及ばない。
といっても、比べている相手は、同じクラス最強の3台です。及ばなくても仕方がないのかもしれません。
4WDとFFでも新車価格でざっくり100万円以上違います。
(関税や輸送費を考えると実質50万円ぐらいの差でしょうか)
が、追いつけない差がずっとあるような気がしています。差は少しずつ縮まっているようにも思いますが、まだ差があるのは確かです。
一方で日本車が圧倒的に欧州勢に勝っていることがあります。
それが、故障の少なさです。
この面でいえば、欧州車は追いつけないほどの差です。
お金をかけている、情熱を注いでいるポイントが違うのかもしれません。
運転しているときに、どれだけ安全か、どれだけ運転を楽しく快適にできるか、所有して良かったと思えるクルマ作りに重点を置いている欧州勢。
走行性能を高めつつ、信頼性と燃費は世界最高レベルを維持し続けているのが日本勢。
コストと時間をかけるポイントが違うので、比べられないのかもしれません。
ですが、車は乗員にとっても、歩行者や車にとっても動く凶器になりえるもの。走行性能はできる限り高めていくことが大切だと思っています。
ここで、少し話がかわりますが、車の限界時の動きについて少しだけ。
日本車の限界時の動きは途中までは、リズミカルに数字を刻みます。
一昔前の日本車の限界域の挙動を1から10までの数字に例えると、7あたりまでは規則的にドライバーが動きを掴みやすいのですが、8~10でそのリズムが変わる車が多かった。
その傾向は、いまでも多くの車に見受けられます。
電子制御に頼らない、車としての基本性能が少しだけ欧州車と比べると足りない。
評価の高い欧州車は、先述の限界域の挙動のリズムがほぼ一定。限界間際になってリズムが変わりずらく動きが推測しやすいように造られています。
このあたりの性能へのこだわりが動的性能の差に現れているように思えます。
ただ、誤解のないように改めてお伝えしますが、日本車の完成度も高くなってきていて、かつてのようなリズムの変化は軽減され、欧州車レベルに近づいてはいます。
ですが、追い越せてはいない。
各クラスの欧州車のトップと日本車のトップを比較した場合、動的性能で欧州車を超えている日本車は存在しません。
これは明言できます。
運転についてあまり考えず、移動すれば良い、車の限界内かつ、時速100kmまでの環境では日本車の完成度は世界でもトップレベルなのは間違いありません。
しかし、走行している中で、不意に限界に達したとき、限界を超えたときの車の動きでは、まだまだ欧州車に並ぶ性能を持った車は、一部のスポーツカーを除き出てきていません。
そして、欧州車の素晴らしいと感じていることのひとつに、限界性能もさることながら、運転する楽しさを必ず持っている事が挙げられます。
ただ誤解のないようにして欲しいのが、限界値の高さではないこと。
走行性能の限界値は、タイヤの性能でほぼ決まります。
限界値ではなく、限界になったときの動きのリニアリティや、素直さ、わかりやすさ、操縦のしやすさという観点で、欧州車が勝っているということです。
さて、最後に今回のわたしのオススメ順位をお伝えしましょょう。4WDでなくても大丈夫という前提のセレクトです。
1 プジョー208
走りの軽快さが楽しい
2 ルーテシア
質感の高い絶妙なセッティングとスタイリング
3 ポロ
コンパクトカーのベンチマーク。裏切りません
4 ヤリス
国産車ナンバー1の走りの良さと燃費
5 ノートオーラ
エレガントな内外装とパワー。デザインだけでも選んで良いレベル
6 フィット
優等生たるバランスの高さ。そつがなく不満はまったくない。
以上。車屋Alluでした!