こんにちは。車屋Alluです。
近年、全国的に自動車盗難は減少傾向にある一方で、地域によってはまだまだ多発しているのが現状です。
そこで今回は、警察庁が公表している令和4年(R4)と令和5年(R5)の統計データをもとに、盗難件数が特に多い地域の「認知件数」と「検挙率」にフォーカスしてみました。
1. 自動車盗難はどこで多い? 上位5都県
まずは令和5年における自動車盗難の認知件数(盗難が発生したと警察が把握している件数)の上位5都県を見てみましょう。この5都県は、**全国の自動車盗難の約55.6%**を占めています。
- 千葉県
- 愛知県
- 埼玉県
- 茨城県
- 神奈川県
これらの地域では、依然として大きな被害が発生しています。
2. 令和4年・令和5年の比較データ
下表は、令和4年(R4)と令和5年(R5)の「認知件数」「検挙件数」「検挙率」をまとめたものです。
検挙率=(検挙件数 ÷ 認知件数)×100(%)
都道府県 | 認知件数 (R5) | 認知件数 (R4) | 増減 | 検挙件数 (R5) | 検挙件数 (R4) | 検挙率 (R5) | 検挙率 (R4) |
千葉 | 746 | 627 | +119 | 190 | 213 | 25.5% (190÷746×100) | 約34.0% (213÷627×100) |
愛知 | 698 | 884 | -186 | 166 | 199 | 23.8% (166÷698×100) | 約22.5% (199÷884×100) |
埼玉 | 683 | 606 | +77 | 146 | 236 | 21.4% (146÷683×100) | 約38.9% (236÷606×100) |
茨城 | 615 | 587 | +28 | 242 | 141 | 39.3% (242÷615×100) | 約24.0% (141÷587×100) |
神奈川 | 461 | 276 | +185 | 228 | 200 | 49.5% (228÷461×100) | 約72.5% (200÷276×100) |
※ 検挙率は概算です。四捨五入の関係で厳密な数値と若干異なる場合があります。
2-1. 令和5年に認知件数が増えたところ
- 千葉県(+119件)
- 埼玉県(+77件)
- 茨城県(+28件)
- 神奈川県(+185件)
関東圏で目立っており、とくに神奈川県は前年に比べて認知件数が大幅増(+185件)となっています。
2-2. 令和5年に認知件数が減少したところ
- 愛知県(-186件)
令和4年に比べて大きく減少していますが、それでも全国2位の高水準(698件)が続いており、油断は禁物です。
3. 検挙率に表れる地域差
- 茨城県:令和4年の約24.0%から令和5年は約39.3%へと、大幅に検挙率が上昇
- 認知件数が増えているにもかかわらず、検挙件数が大幅に増加した結果、検挙率が跳ね上がりました。
- 神奈川県:令和4年の約72.5%から令和5年は約49.5%へ低下
- 相対的には高い水準ですが、認知件数の急増に対して検挙件数の伸びが追いつかず、結果として検挙率は下がっています。
- 千葉県・埼玉県:2〜3割台に低迷
- ともに認知件数が増えている中で、検挙件数の伸びが追いつかず、前年に比べて大きく検挙率が低下しました。
- 愛知県:横ばい
- 前年比でわずかに上昇(約22.5% → 約23.8%)しましたが、全国平均(令和5年:42.7%)には届かない状況です。
4. 地域ごとの差はなぜ生まれる?
4-1. 犯行手口の巧妙化やエリアの特性
- ヤードや港湾施設が近いエリアでは、盗難車を短期間で解体・輸出するケースが多く捜査が難航しがち。
- 逆に取り締まりが強化される地域では、検挙率が上昇する例もあります。
4-2. 警察の取り締まり体制と市民の防犯意識
- 重点取締りエリアの設定や、防犯カメラの増設、地域住民の協力体制が充実していると検挙率が上がる傾向。
- 盗難防止装置(イモビライザ、GPSトラッカー)やリレーアタック対策、ナンバープレート防犯ネジなどの普及率が影響することも。
5. 多発地域での盗難防止対策
5-1. 複数のロック・警報装置
- ハンドルロックやタイヤロック、警報装置などを併用して、盗む手間を増やす。
- 「短時間でも絶対に施錠」を徹底する。
5-2. イモビライザ・GPSトラッカーの活用
- イモビライザ:正規のキー以外ではエンジンがかからない。
- GPSトラッカー:万が一盗まれたときでも位置追跡が可能。
5-3. リレーアタック対策
- スマートキーの電波を遮断するケースに保管する、家の玄関付近に置かないなど、電波を悪用されない工夫が必要。
5-4. 防犯カメラ・センサーライトの設置
- 自宅の駐車場、マンションやアパートの駐車場でも、できる限り明るい場所・カメラ監視のある場所を利用。
- 犯行の抑止力になると同時に、万が一の際には証拠映像としても役立ちます。
6. まとめ
全国の自動車盗難件数は長期的には減少しているものの、特定の地域や車種ではまだまだ被害が集中しています。また、地域によっては認知件数の増減と検挙率の向上・低下に大きなギャップがあることがわかりました。
- 検挙率が下がっている自治体は、対策をより一層強化する必要があります。
- 検挙率が高い自治体でも、認知件数自体が増えているケースもあり油断できません。
何より大切なのは、「そもそも盗まれない」ように複数の防犯対策を行うこと。
ハンドルロックやイモビライザ、GPSトラッカー、リレーアタック対策など、複数の手段を組み合わせて、自宅駐車場・施設などの環境面も含めてしっかり対策を講じていきましょう。
皆さんが愛車を守り、安全安心なカーライフを送れるよう、ぜひ今回のデータを参考にしてみてください。