@小樽のオフィス
最新の国産SUVを何台か試乗しましたが、本当にとても良くできています。
日産、三菱、スバル、ホンダ。どれもSUVの背の高さをあまり感じせない走りの良さを実現しています。
ただ、難点なのは
・コロナ禍の影響で納車が大幅に遅れていること
・販売価格が高級化や性能アップに伴いあがっていること
新車だけでなく、新しめの国産中古の価格はかなり高騰しています。
といっても、3年落ち、5年落ちであれば新車を買うよりも、トータル費用でコストを抑えて車に乗ることができるので、最新モデルにこだわりがないのであれば、国産でも中古をオススメします。
ですが、今回は新車の最新国産SUVと10年落ち5万キロ以内の欧州車でトータル費用を比べてみます。
最新国産SUVの購入費用感
ミドルクラスの国産の最新SUVの車両本体価格は350〜450万円程度。
諸費用や必要なオプションをつけると
総額はざっくり 450~550万円程度になります。
一昔前とは考えられないほど高くなっている印象です…。
さて、では今回の比較対象の欧州車SUVはどうでしょうか?
3年落ち3万キロ以内欧州車SUVの購入費用感
欧州車でいえば、BMW X3、アウディQ5、ボルボXC60 あたりが比較対象となります。
こちらもざっくりですが、550〜600万円程度です。
※一通りの整備・スタッドレスタイヤ新品・1年保証付き
国産新車プラス少しの費用で購入できることになります。
車は乗る費用は乗りたい期間のトータルで考える
これは
購入費用に加えて
・燃料費
・メンテナンス費用 のを乗りたい期間分を加算してトータルで本当の費用を算出するということです。
●新車国産SUVの事例
・購入費 500万円
・燃料費 100,000円/年 → 50万円/5年
→走行距離1万キロ レギュラー160円 燃費16km/l で試算
・メンテナンス費用 0円
総額 550万円
●3年落ち3万キロ欧州SUV(BMW X3)の事例
・購入費 600万円
・燃料費 105,000円/年 →52.5万円/5年
→ 燃費14km/h ディーゼル軽油148円
・メンテナンス費用 100万円/5年
総額 700万円
※タイヤ代はほぼ同じと判断し合計金額から除く
参考情報
●5年落ち5万キロBMW X3の事例
・購入費 500万円
・燃料費 105,000円/年 →52.5万円/5年
→ 燃費14km/h ディーゼル軽油148円
・メンテナンス費用 100万円/5年
総額 600万円
やっぱり「欧州車は高い」と思ったかもしれません。
ではこの価格差をどう判断すれば良いのか? ウンチクを語ります!
車の価値
最新国産SUVのメリットは燃料費と衝突安全機能です。
ぶつからない性能は最新のSUVはあきらかに高い。3年前の欧州車もかなりの安全装備がついていますが、ここだけは間違いありません。
では、欧州車を買うメリットはなんでしょうか?
それは、人に寄り添う作り込みです。
欧州車購入のメリット。人に寄り添う作り込みとは?
欧州車は新車時には国産の同クラスと比べると200~300万円程度高くなっています。
この差はどこに表れているのかをみてみましょう。
1 室内各パーツの質感・手触り
2 圧倒的に疲れないシート
3 感性に訴えるエンジン
4 自分のイメージ通りに動く走行感
5 長距離移動での疲れの少なさ
6 日本車よりも高い衝突時安全性能
※衝突安全テストの数値には出ない領域。数値的に見れば国産最新モデルの方が優秀な場合が多いものの、ぶつかったときに乗員に致命傷を負わせないという点においては欧州車の方が優秀な事例が多い。
7 シャーシの基本性能の高さ
8 高速域での安心感・安定性の高さ
9 モデルチェンジ後も古く見えない
補足
国産車と欧州欧州車を実際に衝突させた場合、乗員スペースとなるキャビンの強度は欧州車の方が勝る事例が多くあります。特に衝突後のドア開閉については、国産車が開かなくなる状況でも欧州車は開く事例は多数。この要因は常用速度域が欧州の方が高いからともいえるでしょう。欧州一般道最高速度は80~100km/hと日本よりも明らかに高く、高速道路は国によりますが130km/h程度。ご存じの通りアウトバーンは無制限区域もまだかなり残っています。
欧州車購入のデメリット
もちろん、欧州車のデメリットもあります。今回は、大きなデメリットを紹介します。
1 交換部品が高い
2 新車である国産車と比べると故障頻度が高い
3 燃料費がかさむ
4 衝突安全機能で劣る
5 ブレーキ関連パーツの交換頻度が高い
大きなデメリットはやはり故障やメンテの費用ということになります。
故障の少なさ、修理費用という面では
フォルクスワーゲンは優秀です。BMW X3も比較的コストはかからない方です。
ここは考え方次第ですが、
車にかかる費用を抑えることが最優先というなら、欧州車が選択肢に入ってくる余地はありません。
その場合は、3年〜5年落ちの国産車を購入することをお勧めします。
程度がよいクルマでも、新車と比べるとだいたい総額で100〜150万円は安く購入することができます。
リセールを見込んで総額を考える
自動車を保有する際に考えておくべきが、リセール価格を考慮に入れるということです。
例えば (総額と5年後のリセール価格を比較)
3年落ち3万キロ程度 BMW X3の場合
購入時+100万メンテ総額 700万円 → 5年後 200万円 差額500万円
参考情報
5年落ち5万キロ程度 BMW X3の場合
購入時+100万メンテ総額 600万円 → 5年後 100万円 差額500万円
新車ハリアーの場合
購入時総額 550万円 →5年後 250万円 差額300万円
新車エクストレイルの場合
購入時 450万円 →5年後 180万円 差額270万円
新車CX-5の場合
購入時 450万円 →5年後 180万円 差額270万円
注 タイヤ代やエンジンオイル交換などのメンテナンス代は含みません
この差額が5年間にかかる費用ということになるので、ハリアーは新車を買うと5年間で300万円かかるということ。
注:数字はあくまでも現況の予測ですので悪しからずご理解ください。
ただ、イメージとしてこのぐらいの費用感になると思っていただければと思います。
この観点から見ると、国産車の方が圧倒的にコスパが高い! といえます。
ですが3年落ち低走行車、欧州車も大きなトラブルは少ないでしょう。国産車より若干メンテナンスや修理に費用がかかるとしても、対ハリアーで考えると200万円の差を見ておけば大きなズレはないと考えられます。
そうなると、年間で40万円。月間にすると3万円と少しの差で、欧州車を維持保有できることになります。
それがハリアーなら250万円程度。他のモデルなら200万円程度ということ。
もちろん、車にかかる総額という意味では、国産車の方が安く済みます。
そして、3年落ちならメンテナンス費用100万円で設定していますが、実際には国産車と欧州車の総額維持費の差はそれほど多くないともいえるでしょう。
※とはいえ、欧州車の方がマイナートラブルがでやすいのは事実です
さらにもうひとつ。中古車の場合、メンテナンス費用を抑えるには、購入時のクルマ選びが非常に重要です。
コンディションがよいクルマであれば、メンテナンス費用は国産と比べても大きく差は出ません。
そういう意味では、中古車情報誌に掲載されている安いクルマは少々危険です。
しっかりとした保証がないのであれば、安いクルマには絶対に手を出さないでください。購入後に痛い目に遭う可能性が高くなります。
安いクルマには、安く売れる理由があるからです。
車屋Alluでは、極良車+納車前整備+保証で安心して乗って頂けるクルマのみを販売致します。
この価格差をどう捉えるかはあなたが何を優先するかによります。
・トータルコスト
・運転している時の安心感・満足感
・いいものを所有しているという実感
トータルコストなら断然、国産車。
満足感や所有感を味わうなら欧州車といえるかもしれません。
わたしとしては、車の移動を「より安心して、快適に移動したい」という方には、欧州車を是非一度試していただきたいと思います。
一昔前、メルセデスに乗る人は「時間を買う人」と言われていました。
快適に長距離をハイスピードで移動する。それが欧州プレミアムブランドに求められていたことといえるでしょう。
実際、わたしも出版社時代にドイツを散々走りましたが、ドイツ車やフランス車は本当に安心して超高速移動を快適にできました。
一方で当時の日本車のレンタカーをドイツで乗ったときには明らかに不安定で、同行スタッフの運転するドイツ車と同じ速度で走るために手に汗握りながら運転をしていました。
同じ段差を乗り越えるにしても、一発で収束する欧州車と、まったくもって収束しない日本車。ステアリング操作に対する正確性。直進安定性などなど、どれをとっても遙かな完成度の差を感じたモノです。
という側面を鑑みて、街乗りだけでなく、たまに長距離の移動もされる方には欧州車を特にオススメします。
もともと、日本とは異なる交通環境を想定して作られている欧州車ですから、欧州に環境に近い使い方をすると、前述のようにその良さがよりわかります。
欧州は日本と比べて以下のような特徴があります。
・移動距離が長い
・一般道最高速度80~100km/h 高速130km〜無制限
・交通事故死者の割合は車乗車中が多い
※日本は歩行中の事故によるものが多い
かくいうわたしは、もう国産車には戻れません。
コンパクトクラスのわたしのプジョー208でさえ、
長距離移動では日本の同クラスと比べると快適です。
とはいえ、トヨタヤリスや日産ノートは負けないぐらい良くなっています…。ただシートだけはまだまだ欧州車の方が一枚も二枚も完成度が高いのが現状です。
走行性能の差
この項では、スペックから見る国産車と欧州車です。
ハリアー(Gガソリン車ミドルグレード)
購入時総額 500万円程度
エンジン
ガソリン直列4気筒 2リッター
馬力 171ps トルク21.1kgf-m
燃費 14.7km/l
エクストレイル(X ミドルグレード)
購入時総額 500万円程度
エンジン&モーター
システム馬力 340ps システムトルク 53.6kgf-m
(実際の数値は走行状況で変化するためエンジンモデルとは単純比較できません)
燃費 18.4km/l
CX-5(2.5Lガソリン packageミドルグレード)
購入総額 500万円程度
エンジン
ガソリン直列4気筒 2.5リッター
馬力 188ps トルク25.5kgf-m
燃費 13.0km/h
X3 10年落ち5万キロ以内(Xdrive 35i ガソリントップグレード)
購入時総額 400万円程度(100万円のメンテ代込み)
エンジン
ガソリン直列6気筒ターボ 3リッター
馬力 306ps トルク 40.8kgf-m
燃費 9.5km/l(推測値)
X3 3年落ち(Xdrive 20d ディーゼル)
購入時総額 600万円程度
エンジン
ディーゼル直列4気筒
馬力 190ps トルク40.8kgf-m
燃費 14.5km/h
走行時の余裕はパワーやトルクで生まれます。
この観点からみると、エクストレイルとX3 35iはストレスフリーの走行ができるかと思います。
SUVは車重があるので、エンジンのスペックはかなり影響を与えます。
いつでも加速できるという安心感は、慣れると疲れ低減にもつながる要素です。
ちなみに国産車はエンジンモデルのハリアーとCX-5の車重は1500キロ台と比較的軽量です。エクストレイルはハイブリッドモデルなのでバッテリー重量が嵩み1800キロ越え。
ですので、エンジンスペックほどの差は感じないかもしれませんが、エクストレイルとX3よりはややパワー不足を感じることがあるかもしれません。特に2リッターのハリアーは他の車と比べてしまうと差を感じるのは間違いなさそうです。
ちょっと蛇足ですが、X3はほぼ1900kgです。
300kg以上の重量差がどこから発生するか…。
それは、鉄板厚の厚さに直結している!?
ちなみに、何度か紹介しているCX60も直列6気筒ターボでした。スペックとしてはBMW X3 35iとほぼ同等です。ただ燃費は8km/l程度となります。
車重がほぼ2トンでしたが、全くストレスない加速は本当に楽しく、気持ち良いの一言。
ボルボの逸話
ボルボの丈夫さは世界屈指。トラックと正面衝突してもほとんど潰れないなんてことも実際に起きています。
またクルマ前部が潰れても、ドアがしっかり開くのもボルボの素晴らしいところ。車重が重い=キャビンを守る。そんなクルマ作りを徹底しているといえるかもしれません。
ここで注意点
クルマを購入する上で、エンジン選びもとても大切な要素です。
ガソリン、ハイブリッド、ディーゼルなどが選択肢としてあがってきますが、ディーゼルとハイブリッドの場合注意すべきポイントがあります。
ディーゼルの注意点
吸気系の汚れ。つまりススが溜まりやすいのがディーゼル。これは燃焼の仕組み上、避けては通れないもの。
ですので、距離がある程度言ったら、吸気系のクリーニングを実施する必要になることもあります。
ガソリン車でもカーボンスラッジの堆積があり、似たような対策は必要になりますが、ディーゼルエンジンよりも多走行でも大きな問題になることが少ないです。
実は部品が壊れた場合は修理保証に加入していれば対応できるのですが、このようなトラブルは修理ではなく整備の領域なので実質保険が使えないことがあります。
このススを低減させるには走り方が結構大切。市街地走行が多いと、ディーゼルはススが溜まりやすいので、高速走行などある程度エンジンに負荷をかけて走ると多少ですがトラブル発生まで時間を稼ぐことができます。
しかし、構造および仕組み上、スス問題はディーゼルの場合は、あらかじめ知っておいて定期メンテするぐらいの気持ちでいる方がよいでしょう。
(クリーニング費用は総額で15万〜20万円程度)
ハイブリッドエンジンの注意点
ハイブリッドエンジンはモーター駆動バッテリーを必ず搭載しています。
実はこいつがある程度の距離。5万キロ程度で交換が必要になるケースがあります。
※日産は8年16万キロの容量保証がついています。
今回ご紹介しているミドルクラスのSUVとなると数十万の覚悟は必要。
特に中古車を購入される場合は、メーカー保証と後付け保証でしっかりとバッテリー交換費用を担保できるようにすることが重要です。
まとめ
欧州車はメンテナンスをしながら長く乗るという前提の作りをしているように思います。ブレーキ周りなどは国産車が5万キロノーメンテでも走れる車が多い中、5万キロなら最低1回はブレーキローター&パッド周りの交換が必要です。
その分、よく効く、コントロール性の高いブレーキ性能を維持することができます。
欧州車の場合、エンジンオイルなどはメーカー推奨では2年2万キロといった車もあるようですが、日本の使用状況はかなりエンジンには過酷な使い方なので、6か月5000キロが理想的です。
これは国産車でも同様です。メーカー推奨はあくまでも性能を維持できるという基準。エンジンを痛めず長く乗るためには、こまめなメンテナンスが大切です。
なにせ、1分間に数千回転で常に回っているわけですから、エンジンをスムーズに動かし、エンジン内部の汚れまで取ってくれるエンジンオイル交換はとても重要なメンテナンスです。
さあ、あなたはどちらが良いですか?
トータル費用で勝る日本車か
安心して安全に移動できる幅が広がる欧州車か
もし迷ったら、是非ご相談ください。
(欧州車も少し程度を落としてリーズナブルな価格で手にすることも可能です。その場合は、うちよりももっと保証が手厚くできるお店をご紹介いたします)