@小樽のオフィス
今日はEVカーの現状と未来について、車を愛する者として綴っていきたいと思います。
フルEVは別名BEVといわれており、走行時にはCO2を発生しません。
しかし、皆さんも何となく聞いたことがあると思いますが、製造時にはこのBEVの方が二酸化炭素を多く排出するという事実があります。
その数値は純ガソリン車の2倍。
実はBEVは必ずしも二酸化炭素排出量で優位ではありません。
そして、走行距離を重ねていくと、常に二酸化炭素を排出するガソリン車に対して、走行に関しては二酸化炭素を排出しないEVが少しずつトータルの二酸化炭素排出量を挽回していきます。
では、どの時点で逆転するのか!?
逆転ポイントはエネルギーミックスバランスによって大きく変わってきます。
その距離がこちら
エネルギーミックスバランスごとの逆転ポイント
●世界平均のバランス 11万キロ
●EUのバランス 7.7万キロ
●風力100% 4.9万キロ
では世界平均バランスとは? IEAのデータを参考にすると
1 石炭 35%
2 ガス 23%
3 原子力 10%
4 再生可能エネルギー 29%
つまり、火力が50%以上を占める場合のデータです。
ちなみに日本は、75%以上が火力。再生可能エネルギーは10%(水力を合算すると18%程度)にとどまっています。
ということは、現状のエネルギーミックスバランスでは、EV車が二酸化炭素排出量でガソリン車を逆転するのは、11万キロどころではないのです。
仮に、原子力を稼働させたとしても、20%程度ですので、ようやく世界バランスの火力発電所の割合になるレベル。
とすると、日本の場合EV車がガソリン車を二酸化炭素排出量で逆転するタイミングは11万キロと大差ないといえます。
EV化を本当の意味で価値あるものするのであれば、発電ミックスバランスの大幅な改変が必要。
いくらガソリン車を排除して、EV化をすすめたとしても、発電元が二酸化炭素を大量に排出していては本末転倒ということなんです。
そのバランスを変えるキーになるのは再生可能エネルギーです。
とはいえ、ドイツのように風力メインにシフトしすぎると、それはそれで問題。
再生可能エネルギーの中でもバランスを取るべきなのです。
風力発電にはふたつの大きな問題が
風力発電の発電という側面での問題は、発電量をまったく意図的にコントロールできないということ。
実際、ドイツでは天候が大荒れになった数日間で1年分のドイツの電気使用量を発電してしまったことがあるというのです。
しかし、電気は使用量と供給量がつねに ≒(ほぼ同じ)でなければなりません。
余った電気は、捨てるか、蓄電するしかないのです。

実際には蓄電能力のキャパを遙かに超え、大半の風力発電からの電力供給をシャットダウンして対応したのとことです。
似たような問題は太陽光発電にもいえることです。
まだまだバッテリーのキャパが追いついておらず、現代の技術では蓄電能力を超える電力は遮断するしかないのです。
風力発電所の環境への影響
風力発電によって、希少鳥類の事故被害が後を絶ちません。
ドイツでも問題になっていますが、日本の場合は人口が少ない山間部等を含めた陸上に設置する場合は、もっと深刻な生態系破壊を生む可能性が指摘されています。
洋上風力についても、海の生態系への大きな影響が懸念されており、自然保持のバランスを考えると、風力択一という選択もあり得ないのです。
しかし、風力発電の大きなメリットのひとつが発電効率が上げられます。その効率は60%越え。技術的にはまだまだ上げられる余地があるとのことなので、有力な発電設備であることは間違いありません。
太陽光発電の環境への影響
太陽光発電は、今の発電効率では、発電パネルを大量に設置するしか電力量を増やすことは出来ません。
発電パネルが多いということは、設置のための広い場所が必要になるということ。
北海道八雲に某大企業グループが運営管理するメガソーラー発電所がありますが、その面積は132ha。東京ドームに換算すると28.7個分です。

この面積で発電量は10万キロワット。2万8千世帯分の電力供給量です。
太陽光発電の発電効率は14~20%と低いことも要因ですが、どうしても設置面積が必要になるのが太陽光発電のデメリットのひとつといえるでしょう。
火力発電の効率
火力発電は使用する燃料と、システムの新旧によって大きく変わります。
古い石油・石炭は30%程度でしたが、最新のLNG発電施設では50%をこえ、60%程度の施設も存在します。

石炭発電所でも最新のものになると48%と高効率化を達成している発電所もあります。
実は石炭発電所のシステム技術については日本が世界トップを走っており、ドイツの石炭発電所を日本のシステムに置き換えただけで二酸化炭素排出量軽減に大きく貢献するともいわれています。
とここまで、発電のミックスバランスやそれぞれの発電システムのことについて触れてきましたが、ことのつまり、ミックスバランスを改善し、発電時のCO2削減を図らなければ、EV車も決して環境に優しい移動手段たり得ないということです。
かりに11万キロ走らなければEV車がガソリン車のCO2排出量を逆転できないのであれば、製造時のCO2排出量が少ないガソリン車をつくり11万キロ以内で乗り換えていく方が、トータルのCO2排出量は抑えられる可能性があるからです。
発電のミックスバランスは政治的な要素が大きい
かつて実はわたしはエネルギー関連の会社で企画営業の仕事をしていたことがあります。
そのときに肌で感じたことですが、既得権益を抜きに電力業界に風を吹かすことすら難しいということ。
政治主導で、本気で取り組まなければ、このバランスは変わってきません。
まして、一時的な脱炭素を重要視するあまり、原子力発電所を増やすといったあり得ない方向へ向かう懸念すらあります。
原子力発電所は実際には二酸化炭素を排出しています。もちろん火力発電所と比べれば低いですが、発電効率も30%程度と決して高くありません。
それに使用済み燃料の問題はまだ未解決で、未来の世代に負の財産を残す可能性が大きい発電方法です。
ゼロにとはいいませんが、既存の発電施設を活用を続けながらも、平行して将来の負債を軽減する研究も続けていくしかないと思います。
その間に原子力に変わる安全でエコなシステムを人類の英知を集結して作って欲しいと思います。
研究者の方々は、真剣にこれらの問題に取り組んでいると信じていますが、国の政策的支援がなければ時間もかかるし、未来が閉ざされたまま時間だけが過ぎていくように思います。
核分裂ではなく、核融合を可能な限り早く実用化することです。
まだまだ理論的、技術的に課題山積みではありますが、実現すればエネルギー問題と二酸化炭素問題はほぼ解決します。
二酸化炭素排出量低減には自動車だけでなく、電力事業や産業界の省エネルギー化も同時に進めていかなければ大きな成果に繋がらない。

特に再生可能エネルギーの割合を増やしていくことが早急に求められるのですが、これも政治的な主導が必要です。
ですが、現在の再生可能エネルギーの買取制度などの仕組みを見ていくと、大きく進めていくのは時間がかかる。再生エネルギー施設を作ろうとしている団体が投資をやりやすい土壌が整い切れていないという印象を持っています。
実際、ドイツの風力発電はいろいろな問題を抱えています。
・新たな発電事業参入者が減少してきている
・買い取り価格の低下
・電気料金への再生エネルギー買取コストの転嫁
もちろん、いまはあるまじき某世界的事件の問題での影響もあるとは思いますが、決して計画通りにいくものではないということ。そのためには政治+民間の協業体制の構築が必須だと考えます。そして日本も今のまま路線だとドイツと同じ轍を踏む可能性があります。実際、買い取り価格は大幅に下がってきているのが実情です。
実はもっと説明が必要な要素もありますが、つまるところ車だけが悪者にならない、脱炭素政策のバランスを取ってもらいたいと切に願うわけです。
