野木亜希子さんのドラマ見逃せません
From 松永和仁
@小樽のとあるカフェ
10月の秋クールのドラマで、野木さん脚本&新垣結衣さん主演の「ケモナレ」が始まります。その前に、野木さんのドラマって見逃したのあったかなあと調べたところ、あるドラマと出会いました。それは「重版出来(じゅうはんしゅったい)」。リアルでやっていた時は見ようと思わなかったのですが、アマゾンプライムで見始めたところ…。思いっきりはまってしまいました。ドラマから学んだことをシェアしてみます。
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本に関わる全ての人が幸せになる「重版出来」
このドラマを見て初めて知った言葉。それが「重版出来」。出版社にいながら聞いたことがありませんでした。というのも重版自体が少ない媒体だったからかも。でもちょっとだけもっといろんな勉強をしておけば知っていたかもと思います。そうであれば、このタイトルに「共感」してリアルで放送された時に見ていたんではないかと思いました。
さて、このドラマ。柔道のオリンピックの日本代表候補になるまで柔道に打ち込んだヒロイン(黒木 華)のドラマ。出版社に入社しコミック編集部に入り成長する姿を描いています。自分の出版社時代と重ね合わせるところもあり、本当に楽しく見ることができました。
その中で感じた、大切なことを3つお伝えしようと思います。
1 天才は存在しない。たゆまぬ努力の先に未来は拓ける
劇中ではヒロインの担当する新人漫画家の成長の姿が、ヒロインの成長とリンクするように描かれています。その新人君。実は天才と思える迫力のストーリーを創作します。しかも湧き出るように…。しかし、絵が本当に下手。
一方、あるベテラン漫画家のアシスタントに20年アシスタントから抜け出せないで苦しむキャストが登場します。彼は20歳の時に新人賞を受賞し、未来を嘱望されていました。そして自分も本物の漫画家になるもんだと思いながら頑張っています。
彼の口癖は「いつか…」。
いつか、誰かが認めてくれる
いつか、誰かがわかってくれる
いつか、いい漫画が描けるようになる といった思いを抱きながらアシスタントをしています。
これってどこかで聞いたような気がしたのは、私だけでしょうか…。
二人の結果はどうなったか?
新人君は努力の末、下手な絵を克服し、連載を勝ち取ります。そして、コミック化されるにあたり読者からの人気も急上昇。新人としては異例の5万部を初版で発売し、数日でその50%を売り、見事「重版出来」を実現します。
方や、ベテランアシスタントは自分の才能というより、実はチャレンジしてこなかった。そして、本物の漫画家にはなれない器であることを悟り、漫画家の道を諦め家業の酒屋を継ぐという結末。
ですが、新人君は本当に天才だったのでしょうか? 実はそうではないように感じます。彼は非常に恵まれない家庭環境に生まれました。母からは虐待を受け、首輪をつけられて繋がれていたそうです(ドラマの脚本とはいえ笑えませんし怖いですね)。食事は一日一食。彼は祖父に育てられました。その過酷な環境下で彼を支えたものは漫画だったんです。だから、漫画への思い入れが尋常ではなかった。そして彼には帰る場所がなく、自分の中に溢れ出る漫画のアイデアを生かして生きていくしかない。その強い思いが彼を突き動かし、マンガ創作を誰よりも情熱を持って続けていくことができました。
その結果が「重版出来」というワケです。
その差はなんだったのか?
ドラマの展開を見ていて思ったのは、思いが強かったかどうか? ということ。ドラマ冒頭では新人君はマンガが描きたい。でも絵を描きたいわけではない。そんなニュアンスのことを話します。ですが、読み切りとして掲載された自分の絵を見て失望します。周りと比べて自分の絵はあまりにもレベルが低いことに初めて気づく(周りからは絵の改善は必要と言われていたのに…)という展開。
そこで彼が変わりました。「絵が上手くなりたい」。そして、また彼はひたすら努力し続けます。その努力から生み出されたマンガは多くのファンを獲得。新人としては異例?の「重版出来」を達成したワケです。
2 でも一人ではきっと達成できなかった。
確かに新人君には漫画に対する熱い思いがあり、諦めないでやり続ける意思があった。でも、一人ではきっとそうはならない。と思わせる展開が進みます。編集者として支えるヒロイン。彼の実質的師匠と言えるベテラン売れっ子漫画家。などなど多くの人が彼を見守りながら、彼の成長を待つ。時にはぶつかり合いながら話が進むあたりは見ていてもハラハラしながら、楽しめる流れでした。
これはどの分野でも同じではないでしょうか? 人が一人でできることは限られている。偉業の裏にはそれを支えた誰かがいたはずです。歴史の中では偉人ばかりが讃えられますが、実はそのそばに寄り添っていた人たちがいたからこそ、誰もがなしえないレベルの偉業が実現した。そう思えます。
もちろん、これはビジネスも同じ。一人で頑張るのではなく、メンターと言われる人がいて、一緒に頑張る仲間がいて、支える仲間や家族がいる。そうでなければ、人は成長し続けることはできないのではと、このドラマを見て再実感した次第です。
3 金メダルに変わる夢を見つけたヒロイン
ヒロインはオリンピックで金メダルを取るため、ずっと柔道に明け暮れていました。ですが、そこに立ちはだかったのは怪我という乗り越えようのない現実。怪我は重く、もはや現役を続けられなくなります。
そこで見つけた夢が、自分を辛い時支えてくれた「マンガ」を通して人々を幸せにすること。そのために出版社に入り、コミック編集部への配属され、ひたすらその夢を実現するために歩み続けていくことでした。
彼女は柔道で培った、諦めない精神。行動し続けることで、周りの人に影響を与え人を変えていきます。それも全く嫌味がない。この辺りは本当に脚本の妙味だと思いました。
このドラマの脚本は野木亜希子さん。彼女の作品はどれも秀逸です。私が楽しませてもらっただけでも「空飛ぶ広報室」「逃げるは恥だが役に立つ」があります。
どちらも本当に脚本が練りに練られて作られていることを実感でき、楽しめるドラマになっています。
そして、この「重版出来」も同じ。彼女の脚本は、辛い、上手くいかない人生に元気を与える力があると感じています。ヒロインや共演者のセリフの中から、人としての行き方を考えさせられる。楽しくもあり、もっと頑張ろうと思わせてくれる。
夢は叶わなかったら終わりではない、また新たな夢を見つければ良い。そして前を向いて歩み続けること。深く感じ入りました。
まとめ
野木さんの脚本は、顔を上げて前に進もう。周りがなんと言おうと自分は自分。自分がやりたいと思ったこと。正しいと思ったことを貫いていく。そしてその中に人への思いやりとか、愛とかが表現されていると思います。
なので、10月から始まる「獣になれない私たち」。注目しています。
また仕事へのヒント、日々の生活の中での力をもらえそうな気がしています。
追伸
ヒントといえばこちら。たくさんのヒントをお伝えします。「きっと役に立つ集客セミナー」
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